夾竹桃
リリー


 ものうい口づけの時
 真昼のカーテンが そっと身をよじらせ
 触れ合った歯の小さな音をも
 ききのがさない

 ある時
 生命を捜し求め
 悲しい広さを見い出した
 貞操を否定する
 ちょっとしたたのしみと
 貪欲な輝きをおびていよう
 その瞳の
 自らをさいなんでも見つからない
 奈落への道

 広い都大路を西にむかって
 ギクシャクとゆれて行く影は
 確かに おまえなのか

 気味悪く 夕焼けが燃え上がっているのに
 高くあげた目の中が真暗な女の影は
 たしかにおまえなのか

 いつも閉ざされている寺の石畳の横
 夾竹桃の紅が 鮮やかなのに
 沈んでみえる
 白い薄衣のお坊様が
 夕方庭をはく時
 ほうきの目のまま流れる砂に
 今日は
 夾竹桃が散っている



自由詩 夾竹桃 Copyright リリー 2023-10-21 10:06:45
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