世界の底で

海と山に挟まれた街の

湾を照らす黄金色の夕日

風の流れる音が聞こえる

鳶の群れが警告を与えている


世界の底にその街はある

虹の彩りが世界を縁取る

空は人の脆さを包みながら

海は人の深い闇を映している


過去は全て瓦礫となって

その潮の深さに洗われていく

海底に潜む鯨がそれを喰らい

人をあるべき姿へと変えていく


ここでの日々を慈しみながら

諦めと哀しみをランプに灯す

貴方はここで全てを喪い

たった一つのモノを取り戻すだろう


自由詩 世界の底で Copyright  2023-10-12 22:15:23
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