遠雷
リリー

 手をかざし見通す むこうに段々畑
 咲き揃っていた向日葵はもう
 どれも 天を仰がず

 吹き来る風に 
 あぜ道の 緑濃い草影
 ころがる日差し

 ああ、好い天気なのに

 手をかざす
 むこうに 消え去る段々畑
 見知らぬ野原の拡がり
 鈍く日輪照りつけて
 眩しさに目を瞑る

 夏の 溜め息なのか?
 雲の浪 遠くで騒ぎはじめる

 見開いた目の先、向日葵の一群が
 空の青さに震う 不穏な気配を
 うなだれたまま虚ろに感じ取っている様



自由詩 遠雷 Copyright リリー 2023-10-10 05:45:24
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