光の朝
由比良 倖

遠足の朝、
運動会の朝、
朝の匂い、
光の鈍さと透明さ、
失望、失望の朝、
こんな朝、過去はどこにあるのだろう?、
宇宙はどこにあるのだろう?、

感情で遊ぶ、
遠い昔の感情で、

色の無い世界、
音の無い世界、
透明で、静かで、
花しか咲いていない世界、

未知は、
平たい氷の爪のように心臓を刺す、
あとには凪いだ水面だけ。

未知とは、物ごとそれ自体。

苺に張ったネットのような風。


僕は裏庭に出て雲を踏んだ。

ベンチに座って、白紙の本を、
いつまでも読んでいた。

心の疼きが、
時を止めるまで。


自由詩 光の朝 Copyright 由比良 倖 2023-10-09 21:25:00
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