光の朝
由比良 倖
遠足の朝、
運動会の朝、
朝の匂い、
光の鈍さと透明さ、
失望、失望の朝、
こんな朝、過去はどこにあるのだろう?、
宇宙はどこにあるのだろう?、
感情で遊ぶ、
遠い昔の感情で、
色の無い世界、
音の無い世界、
透明で、静かで、
花しか咲いていない世界、
未知は、
平たい氷の爪のように心臓を刺す、
あとには凪いだ水面だけ。
未知とは、物ごとそれ自体。
苺に張ったネットのような風。
僕は裏庭に出て雲を踏んだ。
ベンチに座って、白紙の本を、
いつまでも読んでいた。
心の疼きが、
時を止めるまで。