牡蠣のピッツァ
本田憲嵩

牡蠣のピッツァ、
とめどもなく分泌されるもの、
舌の上で厚岸の海をふくんだ、
牡蠣肉の貝汁と、
液体のように熱々にとろける、
チーズの塩見が絡みついて、
トマトソースのあかい酸味とともに、
つよく滲みこんでゆく、
カリカリに焼き上げられた、
ピザ生地の、
想像(創造)しただけの舌のうえで、
塩からい唾液の海がひどく渇望している、
ああ 赤ワインも併せて飲みたい、
牡蠣のピッツァ、
私は一度たりとも食べたことはないが、
(そして今後も食べることはないだろう)、



自由詩 牡蠣のピッツァ Copyright 本田憲嵩 2023-10-09 04:13:16
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