灰の視野
moote

プリンターの音と
蟬の音と
僕の爪の掠れる音が
誰のものでもなく騒つく

地球は夜を見せびらかし
僕は寂しさを見せびらかし
ただ操られている馬のように
そこにある穴を探す

あの日、彼らは
知らないことを恥じるように
そのがさつさを閉じこめていたね
ブロックの隙間から手をさしだす
それを拒む若すぎる老人

雨の中からただよい続ける
見つめる者を見つめる者の容姿
曇の中でいつまでも叫び続ける
恐怖のこころ

蟬の音がなくなった事に気づいた
そこにあった蒸し暑さがなくなった事に気づいた
なのに僕は自分のことをまだ何も気づいてないかもしれない
いやきっと気づいてない


自由詩 灰の視野 Copyright moote 2023-10-08 23:26:27
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