怒られ短歌
妻咲邦香

溶けていく一番長い一日も
なんてことない日の何処かへと


傘の柄が折れたら水の音がして
この血どこから湧き出てくるか


暮れかかる窓の外側よじのぼる
かえるよ太れチョコレートパフェ


アドレスの頭に赤い○つけて
意味は後から考えている


ゆでたまご剥いてとお願いする君は
世界平和もついでに祈る


私より幸福な人教えるな
くらべっこする第一日目


雨つぶて天高々とふりかざし
友はいるよと空のてのひら


パクチーが食べれるようになったから
ママの味方になれると思う


ひつじ雲どこからどこが一匹で
どこからどこが二匹めなのか


ぴょんぴょんとコンビニ前の駐車場
アイスクリーム様のお出まし


タンバリンぱんぱん鳴らし好きな歌
好きなとこだけ、うん、人は人


見たかった海が一緒に見れたから
終わっていいと吐く息の空


ザーサイの星からやってきた男
ザーサイ語しか話せぬという


タンポポの種ひと粒も偶然に
手のひら乗ればほら記念品


真夜中に真夜中のこと考える
ただそれだけのヒオウギでいる


ある晴れた日の陰りしを駆け抜けて
空よ空よと追いかけてなお


三日月がうっかり正面向いたから
今がチャンスと押し花の刑


深夜2時ガレット・デ・ロワに嵌まりつつ
ガトーショコラに浮気も出来る


台風の目にサングラス鼻マスク
口にチャックで職務質問


抜かれまい踏ん張る棘を抜いたから
今日はもう寝るえらい子よい子


腹ペコでお口を開けた曼珠沙華
がぶりの途中やめてうふふふ


今日明日、昨日一昨日その前も
二度と会えない日しか来ないよ


誰もみな痛みに気付かないままに
流氷溶けるシロクマ乗せて


ラナウェイのようなニキビで飛び乗った
貨物列車でシャツ乾かして


がんばれも愛してるだって言ってやる
3分待って滅びの呪文






短歌 怒られ短歌 Copyright 妻咲邦香 2023-10-06 11:39:50
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