小さな夢
由比良 倖
飴玉みたいに脆い強さ。
パソコンは何日もシャットダウンしたまま、
電線でかろうじて街と繋がっているこの部屋。
LEDの電球色
ビートルズ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、
ニック・ドレイク、
レコード、そして真空管アンプ――
冷蔵庫の庫内灯みたいな、憂鬱な明るさ。
「全ては繋がっているのよ」と彼女は言う。
「いいや、全ては全てだ。カオスなんだよ」と僕は言う。
僕は少ししか物を持たない。
全てが全てなら、一体物なんて必要?
それでも彼女は必要で、友だちは必要。
あたたかい家族――そんなものはない。
弱い、弱い心たち、そしてカオス……
魚を釣りに出かけた。
ノートに日記代わりの詩を書いた。
「夢のようだな」隣にいた、友人が言った。
そう、夢のようだ。
彼のバケツは魚でいっぱい。
そして僕はいつまでも詩を書いていた。