たもつ



水管橋に降り注ぐ光
何がしたかったの
わたしの腕も指も
多分、人より短い
変わっていく時間は
変わり続けて
気がつけば
アパートばかりが
目立って増えていった

あなたを思う時
あなたは父
あなたは母
あなたは恋人
あなたは妻、あなたは夫、あなたは
娘、あなたは息子、あなたは恩師、
あなたは友人、あなたは季節、あな
たは名前、あなたは後悔、あなたは
なぞなぞ、あなたはわたし

話さなければいけないことは
たくさんあったはずなのに
水溜りの上に掛かった
虹に気を取られて
一センチ先、
一ミリ先にあるあなたを
見失ってしまった




(初出 R5.10.1 日本WEB詩人会)


自由詩Copyright たもつ 2023-10-02 06:56:50
notebook Home 戻る