卓球中継とスピーカー
番田 

夜風に当たっていると、昔のことを思い出している気がする。何も、意味は無いのだが。天気予報で報じられていた雨は、降っていたのだろうか。屋内にいたので気づかなかった。卓球を、テレビをつけるとやっていた。日本の選手が、中国の選手に少し押されているようだった。試合自体は面白いとは思わなかったのだが、昔、小学生の頃卓球を児童会館でやっていたことを思い出した。見ていて面白いスポーツと言うと陸上とサッカーかもしれない。あまり、日本は強いスポーツではないのだが、単純に見ていて面白いと思えるスポーツとしてはそうだった。面白くないスポーツは野球だと思う。絵にあまり変化がないのでつまらなかったのだ。テレビを消してそこから立ち上がると、椅子の上で風に吹かれていた。冬はいつ来るのだろう。そして、春は今、どこにあるのか。風は吹いていて、僕は昔のことを思い出していた。そして、2年前に訪れたカンボジアの景色を思っていた。やはり、ベトナムとは違い、都市化されてはいない街並み。遺跡文化の強い場所独特の世界がそこにはあった。僕はそこで色々なものを食べたりしたが、やはり日本とはフルーツや野菜の鮮度が違って美味しかった。そしてそんなことを思っていた。


僕は、スピーカーを一台買おうかと思っている。ソノスと呼ばれるスピーカーだった。ラジオを寝る時に聞いてみたかったのだ。しかし操作はアイフォンで行うので、バッテリーを劣化させてしまう。アイフォンはエアプレイで再生するのでバッテリーを消費するのだ。しかしエアプレイを通さずにソノスアプリで再生できればWIFIなのでそれは回避することができた。ただそれはラジコを使うのでできないようだった。バッテリーを劣化させることなくラジオを聞くにはパソコンからそれを再生する必要があったのである。椅子に腰掛けた僕は夜風に吹かれていた。そしてラジコというブラックボックスを憎んだ。ソノス自体は便利なスピーカーに思えたのである。再生ボタンさえ押せれば何かしらの音楽が再生されるという。ちょうど小型PCが内蔵されたスピーカーと言って良い。スマホをつけるとフリマアプリに何台かそれが表示されている。色々なタイプが存在するようだった。僕はでも、今はその時ではないと思っていた。少し外を歩くと街はまだ暑い。しかし8月ほどではない。そしてゴミ出し場には誰かの捨てたダンボールが何日も置かれたままになっていて、白く変色していた。それを捨てた人はまだ住んでいるのかはわからないが、それを収集員が持っていかないのは、僕と同じように、そうしない理由が何かあるように僕は思えた。



散文(批評随筆小説等) 卓球中継とスピーカー Copyright 番田  2023-10-02 01:04:14
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