ノイズ
たもつ



洗濯槽の水底
左折する
何もない身体
空っぽのタクシーが
隙間に落ちていく
昨日会った男は
鼠色の袋を
大事そうに抱えていた
都市の壁を
そのための朝を
〈間奏〉
貫く植物の想像
何度でも
剥がれる
崩れる
散逸する
愛もしくは
愛に似たもの
折り畳まれた物質を
噛み砕き続け
やっと
また会えたね、
産声
〈ノイズ〉





(初出 R5.9.27 日本WEB詩人会)


自由詩 ノイズ Copyright たもつ 2023-09-28 07:06:07
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