わかりあえない
為作
一緒に行くはずだったこの景色を、
病床の君に見せたかった
写真を1000枚撮って、君に見せた
1000枚目を手にとって、君は息をひきとった
悲しみ超特急が
目の前を通りすぎた
思い出は限りなく
過去に区切りもなく
昨日の忘れ物は
思い出さなくても
いいと思った
もう思い出を勝手に
棄てられないのだから
宇宙の記憶の一番古いところから
涙腺までたった1秒で到達する
未確認飛行物体を
感動と名付けよう
体温が違うから
考え方も違うから
容姿も性別も違うから
なにもかも違うから
一緒に居ることの
その存在価値は
分かり合えないことを
認めることから