肩幅
たもつ



水槽のところで約束をした
真昼のすん、とした感じ
色違いの飲み物を二人で飲み
明日も天気はあるのだと
なんとなく思えた
歩く速度で歩くように
わたしたちは笑う速度で笑う
許したことも
許されたことも知らない
ただ生き物の塊として二つ
同じ耳鳴りを共有していた
そこにあるということは
何かの形
多分わたしたちは形
自転車が少しずつ
組み立てられていく
そのような匂いがする朝
市民プールの塩素が
溶けていく音を聞いた
互いに肩幅を見比べて
何も変わっていないと安堵し
椅子を二人分整える
命をゆっくり続けていく
色の綺麗な動物園に行きたい
とあなたは言った
わたしも行きたいと思い
行きたいと言った





(初出 R5.9.22 日本WEB詩人会)


自由詩 肩幅 Copyright たもつ 2023-09-23 01:42:08
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