ホロウ・シカエルボク氏の詩について
朧月夜
ホロウ・シカエルボクさんの詩について。氏の詩は長いです。そして起承転結もはっきりしていない。そのことが氏の不人気につながっていると思うのですが、ここは忍耐力を身に着けて、氏の詩を最後まで読んでみるべきだと思います。氏の詩は叙景や叙事と抒情・叙志が一体となっており、なかなかストーリーを追うことができません。あるいは、著者自身がストーリーなどくそくらえと思っているかもしれないのですが、それは好き嫌いの問題でもあります。氏の詩において特筆すべきは、叙事や叙景と抒情と叙志がシームレスにつながっていること。ある光景から心理に入り、そこから再び叙景へとつながっていくこと。そこには論理を越えた詩でしか表現できないことがあると思うのです。それが詩の技巧というものです。詩とは単なる叙述ではなく、読者の心理的な感性に訴えるものである。そこでは起承転結というものは重視されない(散文では起承転結が重視される)。そういう点において、ホロウ・シカエルボク氏の作品は正しく詩である。長いゆえに、あるいはその論理展開が複雑であるために、なかなか評価されていないことはもったいないことだと思います。わたしは長すぎる詩や難解な詩は忌避する傾向にありますが、ホロウ・シカエルボク氏にはどうしても惹きつけられるものがある。それは、氏の内包している詩想(ポエジー)によるところなのでしょう。すなわち、わたしは詩人としての氏を信頼している。このことには難しい側面もあります。果たして、わたしは氏の詩を今後とも信頼していけるだろうかと。詩人はその成長に従って変化していかざるを得ない存在です。ですが、今のところわたしはホロウ・シカエルボク氏の詩に「ついていけている」。そこには信頼があるのです。依存とは言いますまい。それとは大分位相が違うものですから。氏の詩は叙事や叙景から抒情・叙志へと見事になめらかに移行する。そこでは、詩における言語的な世俗性とは違う、詩のみによる文章の叙述がある。そのようにわたしは思います。氏の詩について詳細な批評はできませんが、この詩人が稀有な者であるということは認識しています。どうか、皆様も氏の詩の長さにとらわれず。氏の詩におけるポエジーに目を向けていただけたらと思います。