soft_machine

 街のひろがりを映した 水たまりの空が 
 土に吸いこまれてゆく ゆっくりと
 ちぎれる雲と太陽 深い青を
 夕暮れを待たず その透明を失わせ

 風に押し上げられた 鳥たちの翼が
 噴水の輝きに消されてゆく 帰り道
 急ぎ駅に向かっているのだろう 誰かが
 他の誰かを追いぬいて 違う誰かを追いかけ

 一度は声を重ねた
 光と光を絡ませた
 誰もが 決してうずめきれないさびしさを
 そっと息で お互いを測りながら
 身体だけ すべてが終わったような一瞬
 頂きを越えるたび
 冷やされてゆく 何事もなかったかのように

 そうして 街が 寝静まった頃
 雨がゆっくり くだけた灰のように降る
 風も同じ 子ども達の輪のように巡る

 それから回転の中心が 次第に移され
 気がつけば 誰もいないベンチで
 ひらいた夜 まるい傘ごしの瞬き


 


自由詩Copyright soft_machine 2023-09-08 17:24:03
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