それだけのこと
アラガイs


藤棚をみて終わりにしたい

そう思いながら隣の庭が消えてしまう

積み置かれた状況 不要物 

必要なものだけを鞄に詰め込んで

きみは何処へ行くというのか

即興で書いているとつい忘れてしまう青紫

秋には棚から無数のカタログを取り出し

別れを告げたのは幻だった

新しい家が建てば古い家もなくなり

聞こえてくる子供たちの声も変わる

ただ  それだけのことを書いている

煙草を吸わなくなってから六年が過ぎた

それでもくるぶしは待ってくれない

真夜中の壁に張り付いた小さな家守の自信

雨がおちれば水滴もかたまり

そして西から風が吹く

たしかめた 庭先に植えた紫陽花も大きく成りすぎて

あなたは雲になる

日めくりだけがたまる   

それだけのことを








自由詩 それだけのこと Copyright アラガイs 2023-09-07 01:38:17
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