眠り姫
ルルカ new


感情なんて、ずっと奥深くで眠らせていたのに、
なぜに、君は、それを起こそうとするのですか?

私は、まだ理性だけでいたいのに。
男でいたいのに。

君は、私の中の女を目覚めさせようとする。
なんの目的で?私が、そう問うと、静かに笑って言った。

「あなたの中の女が僕を呼んだのです。眠りから覚めさせてくださいと。」

「私が?そんな事はありません。絶対に。」
私は、強く首をふった。

「なぜ、そう思うのですか?」

「まだ、その時期ではないからです。」

「そうですか、、、。けれど、本当は今が、その時なのですよ。あなたの無意識が私を呼んだのですから。」

そう言うなり、彼は、私の唇にキスをした。

「おはようございます。眠り姫。」

彼は、私を見つめて言った。
その口づけは、私の心を長い眠りから覚めさせた。
そして私は、自分の中の女を思い出した。

「ありがとうございます。」

気づくと、私は彼にお礼を言っていた。

「いえ。こちらこそ、ありがとうございます。」

「え?なぜ、私に、お礼を?」

不思議そうに、目をパチパチとさせた。

彼は、私を見て、くすりと笑った。

「あなたのおかげで、私も自分の中の男が目覚めたのです。さっきは言いませんでしたが、あなたの無意識は、こうも言ったのですよ。

私も目覚め、お前も目覚めるとね。」


散文(批評随筆小説等) 眠り姫 Copyright ルルカ new 2023-09-06 20:35:04
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