クロッキー
soft_machine

 余った腕は力を脱いて 指をかるく握る
 人さし指だけすこし立てて
 みぎ足 引いてひだりはそのまま
 そう ずらした軸を忘れないで
 鏡 ここに置いておくから

 そこで足を組むならもっと大胆に
 首を傾げるなら 違う感情ものせて
 自然な背すじを心がけても
 そこに心がなければ意味ないからね
 肺で感じて 大切なのは雲の情景
 
 ゆっくり下を見て 水に映った瞳の中の
 無限に連なる君を お仕舞いまで数えて
 眠りそうなら
 鳥になればいいよ
 ある種の鳥は 眠っていても飛べるらしいから

 何が持ちたいの 幾何形体?
 それなら手ざわりを無くしたこの絹や
 古い音色のオルゴール
 さっき塗った 造花はどう
 (造花ということにしておこう)
 におい? 香水だよ

 それとも見えないものを 持ってみない?
 たとえば そう月の裏がわや
 択べる人のこころ
 おさない頃に出来てたことでもいいな
 もうすっかり大人なんだから
 抱えきれないものが増えすぎたみたいだね
 瞼が落ちてきているね
 少し 休憩にしよう

 もう一度 軸を確かめたら
 逆Sで肩を支えてごらん
 鳥がだめなら
 魚でもいいな
 鯨にのまれるところを
 さあ、思い描いて





自由詩 クロッキー Copyright soft_machine 2023-09-06 05:59:05
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