4Dパズル・再構築と原型回帰の間
ただのみきや

情報に味や匂いを感じさせる
わたしはわたしという一つの牢獄を手にとった
わがままな肢体を結んだり解いたり
憂鬱な楽園では狩るものもなく
自他の見分けのつかない愛の残滓が
ネズミの群れとなり這い寄せて
祈りの影をかじるのを聞いていた
意識がいくら捲れても凪ぐことも時化ることもなく
さざ波立つ感覚のまどろみの中で

始まる前から悔いている
無花果のように孕み
カエルのように潰される
逸る光 狐の涙
容赦なく搔きむしられた
油膜の傷にふさわしい擬音で
略奪を繰り返す
あの生臭い花の奥の奥
土器のかけらで腹を満たして

悪童たちが拾い集めた
黒曜石に覆われて
夏の四肢はもぎ取られる
海鳴りと響き合うトンボの翅のおしゃべりが
弱視の太陽に溺れていた
この地に根を下ろした風は
乾いた涙を季節の仮面にあずけ
表象に身をやつす
たおやかにして不動
永久に詐称する文字の蟒蛇
ころがる飴玉黄泉平坂



                     (2023年9月1日)











自由詩 4Dパズル・再構築と原型回帰の間 Copyright ただのみきや 2023-09-02 10:55:00
notebook Home 戻る