ジョルノ
soft_machine
海岸の匂いをかるく靡かせ
君のスクーターが通りすぎるところ
退屈な一日は始まるより早く終わったりする
君のサンダルが扉の前にぴたり揃うと
呼び鈴が鳴るのに
まるで気づかなかったように驚いたふりした
君を待ってるつもりなどない
僕の毎日は
君の気ままな支配を受けいれて始まる
そんな風に
夏の花火を
冬まで持っていこう
グラスを流れる水で洗いながら
やがてじっと水面を見つめたね
ピクニックもふたりの暮らしみたいだね
あの川の向こうまで
ずっと繫いでいてと
指を重ねた
そうして伝えたかったものがいつまでも謎で
ある日を境に
さよならのかわりに
鳴らすクラクションが
ふつりと聴こえなくなってから
ぼくは川には行かなくなった
橋の上から
ただの水の流れを
眺めるだけでいいやと思った
これが本当に
誰も待っていないことなのだと
水を水で薄めるように
僕らのことばにも、やはり何も現れなかった
赤いテールランプ
一日、という名のジョルノ
あるいは日々
たったの50ccで
次の人を探しに君だけを連れて