荒れ模様の旅
久遠恭子

絶望をカバンに詰めて
眠れない夜を過ごした

前の日も雨
天気は荒れ模様
回復見込みはしばらくない

午前9時
空港の掲示板に
遅延情報が流れる

ネパールに行ったら
寺院を観光しよう
思っていたけど無理そうだ

窓の外は雷の音
太った手をじっと見る
随分年老いた醜いだけの肉塊

夢は幻
だから
仕方ない
悪びれて

残された時間
生きている間に叶うのか
いつ動けなくなるか分からない身体を引きずって

鳥になれたなら
叶ったろうか
魚になれたなら
泳げたろうか

空を飛んで海を泳げる日を夢見て
僕が世界を諦めないでいられるように


自由詩 荒れ模様の旅 Copyright 久遠恭子 2023-08-29 07:10:16
notebook Home 戻る