シマウマに乗って宇宙へ行く
atsuchan69

水浸しの草原に黒い鳥たちがいる
どこまでも濡れた大地に星が映っていた
シマウマに乗って宇宙へ行く
果てしなく遠い、天地の境を行けば
そこに揺らめく虚空の入口がある
朝が来れば揺らめきは消えてしまうから
夜にしか宇宙へ旅立てなかった

いつしか赤い砂の星にいた
転がる草と木を燃やして暖をとった
この星の空気は銀色に輝いている
干し肉をかじり、馬にも水を飲ませた
空にはふたつの太陽があった
ピンクの雲と雲の間に、
浮遊した巨大な街が見え隠れしている

夜にはふたたび宇宙を旅した
ルンガの言い伝えでは
血で染めた岩石の帆船で
銀河を自在に行き交う部族が
呪いの谷で暮らしているという
そこへ行くには、
星の橋を渡らねばならない
シマウマの眼に流星が走った

途中、ギジドの村で歓迎を受けた
ラッキョウの肉と魚のスープ、
珍しいマクドの紅い果実も食べた
村人は皆ジェスタの敬虔な信者だった
旅人は生き、そして死後も旅する
彼らは旅人をジェスタの使いと信じていた
この日は久しぶりに夜に眠った

眼を閉じると、果てのない宇宙があった



















自由詩 シマウマに乗って宇宙へ行く Copyright atsuchan69 2023-08-26 04:26:36
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