ダイヤモンドの針をそっと置く

行っておいで

想い出は遠くなるばかりで
美化されたがっているのはなぜだろうか
この溝は
なぞられれば現れる道だ
ふたたび
さみしさの琴線に音を咲かせてみせる

傷をまたひとつ与えられて
レコードは回り

道が終わる
どこまでも続く道などないように
さいごに
レコードが
ジジジ、とノイズを遺していく
それに呼応するように
まなうらで
線香花火の花が咲いた
暗闇の友としては
ちょうどいい
明るさをたずさえて

おかえり