黄色い花
リリー

 澄んだ山の彼方に
 何がある と
 希望して良かったのは
 遠い年代だけの事だったのか

 暗い中をぬけていくと
 ふいに光の中に出て
 あたりは竹、の林
 散りしいた藁に埋もれて
 立ちすくむ

 空はみえない
 優しい葉がしっとりと垂れている
 そのほんのすきまが
 何と明るい

 ひそやかに風渡りすぐ音
 幻の様な村里
 あまりに素朴な 野道
 どこからか柔らかな犬の声

 農家の庭先 
 側溝に沿って咲く花が
 鮮やかに 私の目にとびこんだ
 歩み寄るとウチワサボテンの黄色
 瞼の裏にまで 目眩く激しいもの押しつけた
 
 西山に 雲かかりはじめた午後
 一人帰る野の小道

 サボテンの黄色は 私の胸に
 繰り返し彩り直されながら響いていた


 
 
 


自由詩 黄色い花 Copyright リリー 2023-08-20 15:57:56
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