日暮れ幻影
ひだかたけし

西の空に日は落ちて
仄かに明るむ茜色
富士は威容を際立たせ
茜の地平に黒々と
聳える巨大なシルエット

すべて静かさの内にあり
遥かな遠さを落ちていく

わたしもあなたも別々に
遥かな遠さ落ちていく
雪降り模様のこの宇宙
日々雪かきに追われては
なしのつぶてで日が暮れる
剥き出されたか細い腕
皺の刻まれいく広い額
未だこの世に属しているのか
既にあの世に属しているのか

西の空に日は落ちて
仄かに明るむ茜色
富士は威容を際立たせ
茜の地平に黒々と
聳える巨大なシルエット

すべて静かさの内に在り
遥かな遠さ落ちていく
熱気の空を鋭角に抉り
貴女の想い私の想い
深く内部へ堕ちていく










自由詩 日暮れ幻影 Copyright ひだかたけし 2023-08-16 15:23:11
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