晩夏
山人

汗が目をつたい
塩辛さが痛い
草は水を失い
根無し草を被っている

ミンミンゼミは狂い鳴き
一日のはじまりから終わりまで
命の終末まで生を主張する


夏は終わろうとしていた
いつの時代も晩夏は存在し
蝉をまき散らし
暑さをふりまいた


今日も夜が明ける
朝焼けのような雲が
刷毛で描かれたように
好きな稜線の上を
こともなげに
浮かんでいる


自由詩 晩夏 Copyright 山人 2023-08-16 04:53:30
notebook Home 戻る