雪女2
リリー

 冬の日の山 
 真白な雪の その彼方に
 孤り高く貴女がいる

 あの山の
 雪を被った樹々の間に立ちあらわれる
 男の前に
 肉を欲しがり
 血を欲しがり
 体温を欲しがって

 冷たき胸に
 抱き寄せる男いくたり
 その心 激しく震う時あるも
 結ばれる恋を知らず

 君きかずや
 雪女の声
 呼ぶにはあらず
 ひえびえと
 風 突き刺さり

 男よ 熱き心
 燃やすな

 今日又 雪山に照り返る月
 高く 動かぬ水面に映り
 枝垂れし老木に

 物思うらし貴女の 
 目の微笑み
 誰に 解るだろうか?

 吹雪 すぎし後のみの雪女なれば



 
 


自由詩 雪女2 Copyright リリー 2023-08-08 16:52:00
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