演習
本田憲嵩
砲口のまえで、
つねに張りつめている、
灰色のくもり空のした、
まなざしは玉結びのように、つねにかたく、
未開にもひとしい、山道を、
まるで履きなれない軍靴で、
踏みしめて、
ゆくように、
作業服の下に着た、
白いシャツを、ぐっしょりとさせながら、
実践、
という実弾、
その積極性の小銃の引き金、
に、つねに指で触れながら、
実際にそれを何度も指で引いてゆくのは、
ほかのだれでもない、
それはほかならぬ、
このおれだ、このおれだ、
それはほかのだれかではない、
それは、
コンバットナイフのように、
とても研ぎ澄まされた一週間、
やがて、
鉛のように鈍い空へと向けられる、
大砲の祝祭の轟音、
が、ようやく週末の青空を押しひろげる、
海鳥はかがやく海へと、
解放されて――