橋
リリー
未だ 秋は
何処に居るかも解らない季節なのに
あなたが別れよう という
緑と
白と
二色に色分けた水が流れる
橋に立てば
上流にまわる水車
そして
長く流れる友禅の布
深い深い緑の
まるで こわい葉から滴り落ちる水滴が
鮮血のなみだとなって
私の胸を貫き
夢を捨てて生きる女と
現実を捨てて生きる男と
ためらいがちに去る
京の風
影だけが
橋を わたり
何故に寄り添い
ほそく消ゆ
自由詩
橋
Copyright
リリー
2023-08-05 11:37:59
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