新しい夏のソネット
佐々宝砂

重なる地層の貝殻は
私がこどもだったときと同じように
だんまってしましまの地層に
連なっている

この貝たちが生きていたとき
夏は夏だったのか
夏と名付ければ
きっと夏であったその季節に

死んでいった貝の
気持ちなど知らない
私はホモ・サピエンスである

ホモ・サピエンスである私の子に
これは化石の貝殻だと教えて
私は冷たいお茶を飲む


自由詩 新しい夏のソネット Copyright 佐々宝砂 2023-07-29 21:45:40
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