太郎新聞が行くよ
アラガイs


新聞屋は忙しい
その日のうちに記事を書き上げて印刷する
日が明けてまだ暗い夜明け前、遅くとも2時までには配送される
各々集積所から各家庭に配らなければならないからだ
だからといって投稿欄の詩人が忙しいわけじゃない
投稿欄の詩はいつも空欄だ
 鴉も夜は眠る ……詩人は急かされたらいい詩が書けないのだ……
などと威張っても鼻息は薄い
鼻息は唯一広告主でもあるので文句は言えない
 読者「スイカ農場「小太郎」阿蘇の白い火山灰で育てています」?
こんなキャッチフレーズを売りにして種を撒いている

僕の新聞屋は忙しない
記事の編集から印刷に配送まで全部自分でこなしている
ライバルはリベラルを売りにしている毎朝新聞だけど、最近は保守色の強い押売新聞が勢力を延ばしてきたらしい秘めやかに赤青緑色
それにしても体育会系の新聞がきまって大谷翔平を見出しにしている
たまには加害者と被害者、睨みあったらどうなるの
夜は壁にしがみつく蝉、胡瓜を片手に何処へでも、
 太郎新聞は行くよ    チャリンコで
購読者はもちろん僕ひとり
ひとりで作ってひとりで配る
広告主は「小太郎農場」
リベラルとか新保守とか与党に野党
売り買いの記事は一切ないけど、「投稿欄」詩人を募集中






自由詩 太郎新聞が行くよ Copyright アラガイs 2023-07-29 07:26:27
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