屋上雑景
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 道に迷った鳥たちが憩う屋上庭園は
 都市に仕掛けられた田舎風の罠
 たまには人間も立ち寄る
 ネクタイなんか弛めて
 汚穢なんて言われるが
 ほんとうに心地よい斜められた大気

   こんなに人工が鈍感だったなんて
   潰れたたまごの白身まで疑るに至り)

 国境なきロマンス講座に\監視欲\おかずに垂らす一滴の技が\あの人に
 伝わると、いいな、ずっと半分は信じて\残り半分プログラム\知ってい
 たんです\って独占する度まるで自分のことを遠い国のお姫さまか\名も
 無いノーマ・ジーンかなって教え\どんなにかき集めても\利子分だけで
 なくどっか行っちゃって\もう、どうでもいいやあ\と、知らんふりした
 ほうが良かったとは流石に思わないけれどね\逃げずに確かめろ、てっ\
 いちいち喚く誰? に害意を覚えるに至っては\たばこの吸口がどんどん
 染みったれて\閉じてきた窓のむこうで季節の緩やかさをオルガン無しの
 あしたに喩えてきた日々を\改めて不問にしたい\その前後の無機質こそ
 これから問われる火炎式の愉悦

 なんて、開放的な
 色が終わる頃
 ただ あっと
 白と
 黒に
 線化したかった
 飼い馴らされた安定の予言との
 契約を破棄したい
 それからが終わり
 終わらなければ始まれないから
 隣にいるのは
 どこまでが空で、確かめる裸足で
 いられなくなるかを探る、点しつづけられる、薬の群を逃れ
 空瓶を転がした
 気怠げな終演
 いつまでも責めを競うこの夕暮れ
 硝子はそう簡単に割れちゃくれない
 不自然であるほど仕合せだと考える先に信じられる映像美
 目的を失った思い出の傍ら
 短い針が
 熱線に研かれ
 どこまでも連なり
 黙って惹かれ合う
 もう、星を疑わない

   ほら、見てあそこのネオン管
   今にも切れそう





自由詩 屋上雑景 Copyright soft_machine 2023-07-23 17:08:41
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