自我というもの
ひだかたけし
孤独という実体、
実体としての孤独、
いつのまにか確固と在り
*
真夜中 両脇に眠る
父親と母親に挟まれ
僕は突然目覚めた
豆電球に照らされ
薄暗闇のなか
浮かび上がる
父親と母親、けれど
眠っているのではなく
彼らは只肉体物質として
完璧に死に絶えていた
僕はその二つの肉体物質に挟まれ
限り無く孤独な自分という自我
観たのだと想う
ふとどうしようもなく
その時、
孤独という実体、
実体としての孤独、
薄暗闇に感じ認め続け
僕は何処までも孤独としての自分自我なのだと
それは自分以外誰一人として関われない
絶望も希望も無い聖域に在るのだと
*
言語化する以前の直観、
鮮明なイメージにて確信として
僕という存在を充たし貫いていた、
孤独という実体
実体としての孤独
自我というもの
心の魂の奥底に、
三歳の僕はそう 〈私〉として 薄暗闇にひたすら目覚め覚醒し続けて。