アイソニアの騎士、立つ(六)
おぼろん

「俺は、祭祀クーラスを葬る」アイソニアの騎士は言った。
イリアスはすでにバルケスの塔にはいない。
オーバ・ニーチェの戦士エイソスからの連絡では、
フランキスとイリアスはアースランテへと向かったということだった。

しかし、フランキスは噛ませ犬にすぎない。
フランキスを殺したとしても、祭祀クーラスは新たな刺客を差し向けることだろう。
アイソニアの騎士は、直接祭祀クーラスを殺そうと考えた。
アースランテへと亡命した時とは、事情が変わっていた。

クールランテは、祭祀クーラスの独裁体制へと、移行しようとしていたのである。
祭祀クーラスを殺すこと、それが英雄への道であるのか、
悪党としての所業であるのか、アイソニアの騎士には判然としなかった。

しかし、この度の戦争を短期間に終わらせるためにも、
祭祀クーラスの命は奪われなばならないと感じていた。
そして、アースランテがライランテ大陸を統べる? それは誰にも分からなかった。


自由詩 アイソニアの騎士、立つ(六) Copyright おぼろん 2023-07-19 01:05:43
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クールラントの詩