朝へ 朝へ
木立 悟






空を海へ引く光の紐
雨と機械の音が重なり
遠い話し声となり
さらにさらに遠去かる


音のはざまに見える陽
すべては明るく
白いものの前に浮かんで見える
だが暗がりは 別の径に逃れつづける


彩雲が浮かぶ水に
雨が落ちている
水紋の会話がひゅちひゅちと
途切れることなく沈みゆく


流木が転がり 花になり
打ち上げられ 群れを作る
雪を融かす雨
雨が洗う玩具


階段を流れる窓の音
踊り場に立つ光の他者
毎日 死に
毎日 生きる


花 水たまり 涸れる
夜 手のひら ひらく
地に映る月をついばむ鳥
岩つたう水 葉の上の街


この歩みの行き着く先を
誰がどのように決めるのか
水はふたつ
人はひとり


夜の晴れの冷たさが降り
星の揺らぎの声も降る
海に浮かぶ水の歯車
朝の光に消えてゆく































自由詩 朝へ 朝へ Copyright 木立 悟 2023-07-17 22:28:51
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