診断
ゼッケン

電子タバコにしてから
口元に火を近づけるということがない
息子に教えたいことがない
おれからではなく、自分で見つけたらいい
おれはもうすっかり満足だ
おれはもう歳を取らない
じゅうぶん歳を取ったからだ
未完成の中に完成を知る
完成させないことを永遠に続ける
悟りを気取っているように見えたのなら許してほしい
実際そうなのだ
マッチを擦って細い木の棒の先に揺れる火を口元に近づける瞬間の危うさを捨てたときから
短くなった煙草の先端を咥えた真新しい煙草の先に押しつけて強く息を吸うあの呼吸をなくしてから
おれはただの依存者だ
無害を装う嫌悪の対象に転落して

までも

おれはいまだ書こうとする
書こうとする衝動だけがいつまでも

誰の迷惑にならぬよう、
何の意味も残さぬよう、

そんなめそめそした奴と心中する気はない

詩は迷惑であり、意味であるべきだ
そしておれは治療の必要な依存者だ
外来に通う気はない


自由詩 診断 Copyright ゼッケン 2023-07-17 12:38:31
notebook Home 戻る