酒房の話
リリー
ある女が 酒房に惹かれ
やかましいその片隅に
毎夜坐っていた
沈んだ目が時折光る時
女はカリカリと氷をかみ砕き
強い酒に挑んでいる様に見えた
何日かすぎた頃
酒が 女に惹かれ始めた
この女こそ
限りなく優しいくちづけで
酒は女に求愛した
ある夜ついに
酒は女を我が物とした
女の冷たい体を抱いて
酒は冬の夜空に昇っていった
その後 酒房は
いつしかさびれた
あそこは酒がない
誰もが そう言った
自由詩
酒房の話
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リリー
2023-07-12 05:15:44
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