吾輩は猫ニャンである 其参
銀薔薇

吾輩は猫ニャンである
親分はいつも二階の自室におる
階段を駆け上り
ドアに体当たりすると
中に入れてくれる

なのに
体当たりしても
飛びかかっても
ドアが開かない
何度も何度も
二階に上がった

数日後
吾輩は脱走して屋根に上がると
親分の部屋の窓下におった
ジャンプして中を見ようとするも
カーテンが邪魔で
中が見えない
何度も何度も
ジャンプした
やっとカーテンの隙間から
中が見えたけれど
親分はいなかった

吾輩は
毎日屋根に上がって
親分のいない
その部屋を覗き込んだ

そして一週間が過ぎた

やっと
やっと
やっと
やっと
やっと

親分が帰って来た

でっかいパパと
でっかいママは
親分に
退院おめでとう
と言うておった

親分が吾輩の名を呼びながら
顔を近づけて来る

吾輩は
吾輩は
吾輩は
ガブっと親分の鼻を
噛んでやったのである


自由詩 吾輩は猫ニャンである 其参 Copyright 銀薔薇 2023-07-09 22:38:50
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