惰性
ただのみきや

地は曇天を映し
そよめきに雨の残り香
小舟に乗せられた
遺骨をひもとけば
けむりの舞踊
黒く曲がった釘の群れから
鮮血の唇が この耳に
かすかにからまって
はぐらかす
この惰性 内壁の鈍色



            (2023年7月9日)


自由詩 惰性 Copyright ただのみきや 2023-07-09 12:27:52
notebook Home