世界
銀薔薇

可愛らしい小さな花を
踏みつけそうになった
避けようとした瞬間
目の前に大きな木が現れる

よく見ると
あれ?さっきの花?
まさかと思うが

「それってさぁ!
花が大きくなったってこと?」

背に気配を感じ
振り向くと
自分より大きな虫

「擬態型ッ?」

よく見ると
蝉の幼虫

「これってさぁ
ぜったい僕が小さくなったんじゃん!」

幼虫の背中が割れると
眩しく輝く威厳に満ちた
大人の蝉が現れて
会釈しながら手招きをする

「友好型かッ」

蝉は僕を背中に乗せて
小さな空という名の
大空を飛んでいる
僕もまた
小さな世界という名の
大世界で生きている


自由詩 世界 Copyright 銀薔薇 2023-07-07 21:26:42
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