あじさい
塔野夏子
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で
六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
自由詩
あじさい
Copyright
塔野夏子
2023-07-05 10:07:17