dropin’
竜門勇気


流れ星が消えるみたいに
僕の言葉は見えなくなった
真っ黒な人の形をした影が
こっちを振り向いたような気がした

遠くの方で爆発音
そして影はあるき出した
夕暮れの中の一瞬の出来事
全ては光で隠されて
真っ黒な世界の一部分が
こっちを振り向いてなにか言ったような気がした

のこぎりで切り離された
思い出の一部分が持ち去られたあと
僕のゲームはゆっくり終わっていった
のこぎりの刃に残された
残り香を指で拭って
僕は振り向いた
まだシルエットになれない雲が
いくつか浮かんでいて
それでも初めからやり直す気になんてなれない
まだ終わっていないだけで
これから終わるだけなんだ
流れ星が遠くから遠くへ消えていく

こちら側では楽しいことがいっぱいだよ
そんな看板に力なくもたれかかって
ミツバチたちも生きるのに疲れてる
誘いの言葉は聞こえてるよ
過ぎ去る場所では
こんな時間さえゆっくりと感じる
払い除け合う言葉と手のひらを
思い出しながら歩いていく
みて、流れ星。ああ、もう消えちゃった。
生活が圧し殺してしまったものを
みんなで見ないふりしてた

日が昇り始めたよ
お願いだから目を開けて
今ならまだ始めることができる
僕には君の姿が見える
光が僕を隠して真っ黒の影にしてしまっても
大きな声で呼びかけ続ける
流れ星ほど輝いていなくても
流れ星ほど儚くはない言葉でも

もう一度だけなんて思えなければ楽だけど
そういうわけにもいかないんだ
君の向こうに真っ赤な雲が浮かんでいて
なにもかも始まったばかりで
なにもかも諦めてビールを買って帰るって
そんな気分ではいられない
生活の足跡がついたぺしゃんこの気持ちが
膨らみかけてる間だけでもいい

みて!流れ星だよ。ああ、消えちゃった。
ねえ、流れ星は、暗闇の中で、どうやって、僕らを、
見つける、んだろうね?
だから、僕は、そんなの、気に、するのを、やめたんだ
僕は、



自由詩 dropin’ Copyright 竜門勇気 2023-07-04 02:40:38
notebook Home 戻る  過去 未来