午前七時三十七分発の電車に乗りたくて
　はや足で　のぼる小路
　それでも
　目の端がとらえてしまう　小さきモノ達よ


　短くなったタバコの吸い殻

　路面にひろげられたまま貼りつく様に生乾き状態で
　そこに在る
　子供用の柄入りタオル地ハンカチ

　ちゃんと縁石に鎮座している黒の無糖缶コーヒー

　うす茶色に汚れた白の不識布マスク

　まだ綺麗なサーモンピンクの立体型布マスク

　クシャクシャっと丸まっている折り畳み傘のネイビーなケース袋

　思わず踏みそうになった転がってるボールペン


　他にもあったけど
　みんな　
　「おはよう」
　なんて、言ってくれずに無言だった。