あやかし
soft_machine

 小鬼らの足あとに少女もはだしを載せましたら
 堪えきれない心が蒼へと染まり
 瞳に映らなくなりました

 そこから見えますか
 少女の唇が呼ぶ雨と
 少年の肩を締めつける光
 そして間に合いますか
 現世の境界は人の表面にもあって
 濡れた皮膚を傷めてしまうから

 虹の彼方へ消えてしまう前に
 次のあやかしを育てながら
 そっと息を吹きかけ
 安らぎも取りあげます
 守ることが奪わないように

  (あなたの微笑みに透けた静脈を調べている間だけ

   やさしい哀しみを思い出せる)

 やわらかい庭に結ばれた印の奥にひそむ
 人の愚かさは
 違う人生を盗みながら笑うから
 人は不仕合せ
 また想像に游ぶ尾をきつく咬む





自由詩 あやかし Copyright soft_machine 2023-07-02 15:40:58
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