ブルーマウンテン
soft_machine

 色褪たページは
 枕辺のまぼろし
 テーブルに伏せた夜のとばりを
 そっと捲るように

 形を感じさせぬ影は
 ただそこにあり
 幾重にも揺れるカーテンの奥で
 かすかに濁すマドラスのひかり

 溶けない氷ならよかったのか
 燃えても分離しない酒瓶に
 夜明けの点眼液を垂らし
 波に浮かべるひとひら
 吐きだす海を嗅いで
 酔ったふりだけしていれば
 願い叶ったあの日

 桟橋のあたりで
 握った灰もきのうの空を憶えて
 それとも笑おうか、なんて

  なみだの雫を捉えて打つべし
  うつくしき獣たち
  オペレーション・ブルーマウンテン
  こんにゃく戦法さ

 迷うのにも飽きたら
 拾い集めた感情を
 どんな形にするの
 きっと、どんな形にも出来る

 出来ないことと出来るってことは
 たぶん同じだから

  私たちも真っ白になる
  吹きすさぶあの嵐の向こうで





自由詩 ブルーマウンテン Copyright soft_machine 2023-06-26 17:34:48
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