エインスベルの迷い(一)
おぼろん

一方、そのころエインスベルも迷いのなかに包まれていた。
イリアスの所在は分からない……エイソスの報告では、
フランキスがイリアスを連れてどこかへと赴いたということだった。
アイソニアの騎士はそのことを知っているのだろうか?

エインスベルは二つの危惧にさらされていた。
それは、イリアスが政治の道具とされてしまうこと。
もう一つは、イリアスが殺害されて、
アイソニアの騎士が暴走することである。

(イリアスを殺されたら、アイソニアの騎士を抑えることはできまい)
何が二人にとって、世界にとって、幸福をもたらすものなのか、
エインスベルには分からなかった。そして、東国のヤーコンの意向もある。

ヤーコンは今、軍国ラゴスに対して宣戦を布告しようとしていた。
クールラントは確実にその戦いに巻き込まれるだろう。
(祭祀クーラスは、なぜこの期に及んで泰然としていられるのか?)


自由詩 エインスベルの迷い(一) Copyright おぼろん 2023-06-26 05:48:42
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クールラントの詩