六月
soft_machine

 積乱雲を想って
 紫の渦あじさい
 順呼気に澄む
 ふくらみ過ぎた花と緑は
 まるで巨大なくるみ型の舟
 或いは脳みそ 
 私はミソスープに伸ばした腕を
 食卓の
 小鉢に触れたいと思い
 乳として
 仔牛に飲ませたいと思い

 群がらせていた
 花にその座を譲った空間は
 さらに袋にひらかれる
 雨声を集めた
 花粉の濾しは今が盛り
 私はくちびるを盗ませただけでなく
 すべての肺胞を許す
 私の二酸化炭素達は奪われた
 ひと粒でも残せば
 代替は酸素を要求する

 (ほんと言うと)

 (六月なんて嫌いだ)

 葉の裏をそっと掴むと
 蝶の瞳も
 また巨大な銀河

 均一な湿度
 透り抜けてゆく





自由詩 六月 Copyright soft_machine 2023-06-16 18:34:49
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