六月
soft_machine
積乱雲を想って
紫の渦あじさい
順呼気に澄む
ふくらみ過ぎた花と緑は
まるで巨大なくるみ型の舟
或いは脳みそ
私はミソスープに伸ばした腕を
食卓の
小鉢に触れたいと思い
乳として
仔牛に飲ませたいと思い
群がらせていた
花にその座を譲った空間は
さらに袋にひらかれる
雨声を集めた
花粉の濾しは今が盛り
私はくちびるを盗ませただけでなく
すべての肺胞を許す
私の二酸化炭素達は奪われた
ひと粒でも残せば
代替は酸素を要求する
(ほんと言うと)
(六月なんて嫌いだ)
葉の裏をそっと掴むと
蝶の瞳も
また巨大な銀河
均一な湿度
透り抜けてゆく