やわらかい丘
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 撹拌された
 街の音や願いが
 クラシック風の音形をなぞる

 やわらかな丘の群で拾われる古代
 おしゃべりな小鳥
 衰弱しかないその聲に
 仮託された笑みは
 発点してしまえばいいよ そういう
 踊りはじめようじゃない そういう
 甘い糖衣に包む 何もかも
 時代にも 雨にも ふさわしいといえる

    *

 夜半
 美しいと思いなおす一語

 蛍雨
 ほの昏いことばを綯いながら
 ひだり手のこゆびをつかむ
 くすりゆびには寝息
 そして夜の瞳にも
 きっと来るより深い眠り
 星の川が枯らされた空の下
 そこだけたんぽぽが咲いている
 かたい道をわって
 いつもなつかしくひらく

 小川の上で
 白いしずくも くるり
 うら返る水車のはね

    *

 背なかにやわらかい波を感じたら
 胸をひらいてごらん
 笛をふいてごらん
 ごらんにいざなわれた
 いつかの子どもが呼んでいる
 足をまわし
 声をあずけ
 
 古い木にいだかれるひろがり
 三つ編みにふわりをひそませ





自由詩 やわらかい丘 Copyright soft_machine 2023-06-10 21:26:37
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