自転車にひょっとこ
たもつ



自転車にひょっとこ
荷台ボロボロ
俺、激しくペダル
自転車にひょっとこ
走れ
俺号
うおーっ、うおーっと雄叫び
おまえの背中が春に似ていて、俺
自転車にひょっとこ
泣けるねえ、泣けるよ
口笛は吸っても音が出ます、と
シソーノーローのひょっとこ
つまるところ俺のフットは
ペダルの上
自転車にひょっとこ
湿布貼っとこ
自転車にひょっとこ
愛は突然かもしれねえが
突然は愛なんかじゃない
って本当?ひょっとこ?
おまえ本物じゃねえだろ
自転車にひょっとこ
時には歯切れの悪さも必要です
確かに必要で
自転車にひょっとこ
した
自転車にひょっとこ
何だかウキウキしてきたぞー
目は血走ってるけどねー
(鏡で見たらねー)
自転車にひょっと

で、話の続きですが
俺、泣いてる、激しく夏の炎天下
右手にこん棒を持たずに
左手にパンタグラフを持たずに
気がつくと
いつも何も無いじゃあないか
気がつくと
口がニュウって突き出してるじゃないか
うおーっ、うおーっという雄叫びも
軽やかに俺の発語でした
自転車にひょっとこ
あるものはある
ないものはない
そんなつまらないことを確認するために
俺たちは生まれてきたのでしょうか
ねえ、Myひょっとこちゃん




自由詩 自転車にひょっとこ Copyright たもつ 2005-05-12 08:39:27
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