ひとつの音楽
soft_machine

はじめ 波に生まれた感情
つのり 膜をゆっくり震わせた
音は 太古の海を あたためるような
音楽となり いのちを紡ぐ

例えばそう
ひかがみ、おとがい 耳朶 耳穴
それら座標が 定めにくい
まっすぐな線で 身体を真と分けられたのなら
それはひとつの 音楽

歩けるだろうか、左右 真のまっすぐ
無理と決まってる
けれど忘却の指をつなぎとめる
聴音は狂いなく
あの風変わりな韻律の
下降音形を
掬ってくれるだろう
何が来ても俯かないで
愛してると囁く筈だから
そっと 海に浮かべておくれ
どこまでも延べる画布 油粒 不安
鳥としての自由
飽きのこない喧騒も足して かき回す

それは きっと 音楽
いのちが要る魂があり
いのちが要らない魂があり
人が覗きこむもの 調合されたものには
ちょっとした染みや 疑念や憎悪もあるけれど
はじまりの大地として もっと拡がる
美しさを息する 音楽なんだ
唇と嘴で交わしあう
何も悪くないものばかり弑する
何も悪くないものばかり嬲る
自分より
自分より
自分より大切な本当が 見つかったのなら
音よ 拡がれ
音よ 拡がれ

拡がれ 音よ





自由詩 ひとつの音楽 Copyright soft_machine 2023-06-01 16:54:05
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